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【校舎長のつぶやきvol.3】「文学部に行って何になるの?」|歴史の教授に聞いてきた

玉井先生講演 アイキャッチ

こんにちは、東進衛星予備校 館山校の坂本です。

先日、慶應義塾大学名誉教授の玉井清先生の講演を聴いてきました。テーマは「歴史を研究する極意とその意義について」。

ウチの歴史好きな生徒も何人か参加し、講演後はかなり関心を持っていました!

玉井先生講演会の案内
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歴史の話を聴きに行ったつもりだったんです。でも帰り道に頭に残っていたのは、全然ちがうことでした。

面談でよく出る、あの質問への答えです。

目次

「文学部に行って、何になるの?」

面談でときどき出ます、この質問。

理系とか商学部とか法学部なら、まあ仕事は想像できる。じゃあ文学部は? 政治学科は? って。

分かります。学費も時間もかかるわけで、その先が見えないと不安になりますよね。私も高校生のとき、同じことを考えていました。

玉井先生 講演会のようす
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アメリカの大学には、医学部がない

まず面白かったのがこの話。

アメリカの大学には医学部がありません。医者になるなら、まず大学を4年出て、それからメディカルスクールへ進みます。

法律も同じ。学部に法学部はなくて、ロースクールという大学院に行く。経営を本格的にやるならビジネススクール。

すぐ仕事に直結するやつは、だいたい大学院からなんですね。

じゃあ、学部の4年間って何なのか。ここからが本題です。

学部の4年は「行間を読む力」をつける時間

玉井先生の答えは、はっきりしていました。

行間を読む力”をつけるため

書いてあることを読むんじゃない。書いてないこと、出来事の裏側にあるものを読む力です。

源氏物語なんかは、はっきり書いていないところにこそ意味がある。ああいうものを何年もかけて読み解く訓練をするわけです。

で、この「行間を読む」の例として出てきたのが、軍事技術の話でした。

パソコンも、GPSも、もとをたどれば軍事技術です。アポロもそう。いまカーナビで道案内してもらえるのも、軍事技術が転用されたからなんですね。

もっと分かりやすいのが空母の話でした。

ニュースで「空母が動いた」と流れます。でも、実際に動いているのは空母1隻じゃない。

空母には、それを守るチームがまるごとついています。つまり「空母が動いた」=1万人規模の組織が動いたということなんだそうです。

たった6文字のニュースの裏に、それだけのものがある。これが行間を読むということか、と思いました。

ついでに言うと、昔は海を支配した国が世界を支配していて、次に空を支配する時代がきて、今はサイバー空間と宇宙だ、という話もありました。これを知ってるだけでニュースの見え方が変わります。

歴史をやると「縦の時間軸」が手に入る

もうひとつ刺さった話。

歴史をやると縦の時間軸が手に入る、と。

できる経営者には歴史好きが多いそうです。1日先も、1週間先も、1ヶ月先も、同時に見ている。逆に、明日のことしか考えられない経営者は伸びない。

お医者さんもそうですよね。熱が出たとき、今の体温だけじゃ何も分からない。1日前に何を食べたか、3日前にどこへ行ったか。過去をたどって、やっと今が分かる。

これ、模試とまったく同じだなと思いました。

返ってきた点数だけ見ても、正直あんまり分からないんです。半年前に何をやっていたかを並べて、やっと点数の理由が見えてくる。

すべては「基本のフォーム」から

講演の後半は、フォームの話でした。

イチロー選手のバッティングフォーム。あれだけ独特ですけど、基本を抜きにして生まれたものじゃない。絵を描く人だって、まずデッサンからです。

勉強も同じ。基本のフォームがあって、はじめて自分のやり方が乗る

じゃあ歴史の基本のフォームは何かというと、「その時代に戻って考えてみる」だそうです。

例に出たのが、室町時代の壺

ガラスケースの壺を蛍光灯の下で眺めても、あれは鑑賞じゃない、と。当時どんな灯りの下で、どんな部屋に置かれていたのか。そこまで思い描いて、やっと見たことになる。

裏を返すと、時代背景を見ないまま「昔の人は遅れてる」と切り捨てるのが、いちばんもったいない見方だということです。

「葉っぱだけで覚える人はダメ」

講演のあと、玉井先生に少しだけインタビューさせてもらいました。そこで出た話がこれです。

ダメな人は、全部を葉っぱで覚える。並列に、バラバラに。

できる人は、幹があって、枝があって、その先に葉っぱがある。それを頭に描ける。

これを聞いた瞬間、思わず「僕も全く同じことを言ってます」と口に出てしまいました。

歴史の年号も英単語も同じで、バラバラに並べて覚えたものは抜けます。幹、つまり流れが頭にあると、そこにぶら下がって定着する。

玉井先生も「幹があれば暗記は定着するから大丈夫」と言い切っていました。逆に言えば、葉っぱだけ増やしても抜けていくということです。

概念(幹)が盤石だと演習量(葉)を増やしても崩れてしまう
概念(幹)が盤石だと演習量(葉)を増やしても崩れてしまう

これ、前に別の記事で書いたことと同じでした。解き方だけ覚えた人は問題が少し変わると止まる。「なぜそうなるのか」まで分かってる人は、初めて見る問題にも手が出る。あれの言い方違い版です。

講演後に玉井先生にインタビューさせていただきました!
講演後に玉井先生にインタビューさせていただきました!

歴史が嫌いだった人が、歴史の教授になった理由

いちばん聞きたかったことも聞きました。講演の中で玉井先生は「元々社会は好きではなかった」と。どうやら数学受験だったそうです!

なので「歴史が嫌いだったのに、なぜ歴史の道に進んだんですか」と聞いてみました。

答えは一言。「指導教授との出会いです」

その先生に会わなかったら今ごろサラリーマンやってましたよ、と笑っていました。

そのあとに続いた言葉が、この日いちばん残りました。

万が一失敗しても、実はそこに案外、出会いがある。人生そんなに悲観する必要はない。

もちろん受かるのを目指すんです。でも世の中、うまくいかないこともある。

そのうまくいかなかった側の選択肢が、あとから人生を大きくいい方へ変えることがある。名誉教授になった人が言うと、重みがちがいます。

「役に立つかどうか」だけで選ぶと、選択肢が減る

というわけで、最初の質問に戻ります。

「何の役に立つの?」だけで学部を選ぶと、選べるものがどんどん減っていきます。しかもその物差し、10年後には変わってるかもしれない。

前にこのブログで「勉強は一生もの」という話を書きました。あのとき言いたかったことの答え合わせを、講演でしてもらった気分です。

学歴や学部が仕事にどうつながるかは、こっちでも書いています。

高校生のうちに将来を決め切る必要はないです。今すぐ完璧な答えを出さなくて大丈夫

ただ、「役に立たなそうだから」という理由だけで興味のある学部を消すのは、もったいない。それだけは言っておきたいなと思いました。

ちなみに玉井先生、歴史の勉強についてはこうも言ってました。「あんまり難しく考えなくていい。面白ければいいんです」。

校舎長 坂本

進路に迷っている高校生も、お子さんの学部選びが気になる保護者の方も、一度話しに来てください。館山校の面談では、こういう話もしています。

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この記事を書いた人

坂本慶介のアバター 坂本慶介 東進衛星予備校 館山校 校長

東進大井町校の元生徒であり、大学生時代には担任として3年間、東大を含む難関大合格実績を多数積み上げた「東進のプロ」。現在は館山校の校舎長を務める傍ら、映像ディレクターや海士としての顔も持つ。この異色のキャリアを活かし、単なる受験指導に留まらない「社会で生き抜くためのリアルな視点」を生徒に伝えている。

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